急性期病棟の1日の看護業務について *85歩
こんにちは!ユウジです。
今回は、僕が合計2年勤めていた急性期病棟の1日の看護業務の流れを紹介します。
急性期病棟とは、急に発症した病気の治療のために入院してきた状態が変化しやすい患者を治療・ケアする病棟のことで、基本的には手術が関わる外科病棟と、内科病棟の一部(消化器内科など)のことを言いますが、きっちりと分けることはできません。
急性期病棟では、患者の入院目的が病気の治療であることがほとんどなので、治療を受ける準備や患者の移送。終了後の観察が優先され、それを込みで日常生活が成り立つよう看護師が活動することになります。
時間に関わらず優先される看護業務(治療の補助・援助)
- 手術出し・手術受け
- 検査出し・検査受け
- 輸血・化学療法
- 消毒・回診
- 緊急入院受け
午前中の看護業務(患者の日常生活を支える援助が中心)
- 8時~勤務開始、申し送り
- ~9時 食事介助
- 9~9時半 環境整備
- 9時半~11時 バイタルサイン測定/入院受け/清潔ケア
- 11時~ 食前処置
- 11時半~ 食事の介助
午後の看護業務
- 12時半~13時半 ナースコール対応
- 13時半~14時 カンファレンス
- 14時~16時 清潔ケア、家族指導
- 16時~17時 残務処理、物品カウント、勤務終了
時間に関わらず優先される看護業務
治療の援助、補助に関わる看護業務は、時間に関わらず優先されます。その最たるものは手術です。
手術出し・手術受け
手術に関しては、入室時間が決まっており、これに遅れないように手術室へ移送します。手術室のチームが患者を担当するので、病棟の看護師が行うことは、
- 患者の手術室へ行くための心身の準備
- 同意書などの書類の準備
- 移動手段の確保
- 本当に手術を受ける患者かどうかの確認
患者の間違いがあっては絶対にいけないので、本人であるかどうかを名前を答えてもらうことで確認し、これを何回かにわけて行います。
手術受けは、手術出しよりは時間が不確定ですが、手術室より電話がかかってきたら、ストレッチャーで迎えに行き、手術室看護師より
- 手術中の経過
- 状態の変化
- 出血量
- 皮膚の圧迫がないか
などを確認します。病室に戻ったら、バイタルサイン測定(体温、脈拍、血圧の測定)をどの間隔で分けて行うかを病院が決めているので、それに合わせて測定をし、患者の状態の観察をします。
余談ですが、最近は手術室へは歩いて入室することがほとんどです。自分の足で行くことで肯定的な気持ちで手術を受けることができます。もちろん、問題なく歩ける患者のみのことで、トイレに行く移動手段で入室という感じです。
検査出し・検査受け
内視鏡検査や超音波検査など、病棟ではない場所で時間のかかる検査を行う場合、
- 患者が呼ばれたら検査室へ移送をする
- 終了の電話が来たら迎えにいく
という流れになります。患者の状態と、検査の疲労や患者の緊張に合わせて、車いすか歩行か、ストレッチャーで行くかなど移動手段を考えることになります。
輸血・化学療法
輸血と化学療法は、点滴治療のひとつです。
- 決まった速度・量でこの治療を行う
- 決まった時間にバイタルサイン測定を行い、記録する
これらの治療は、副作用が強く出る可能性があるので、開始15分(病院によって異なる)は看護師が患者に付き添い、変化がないか見守ります。それからは、1時間ごと(病院によって異なる)にバイタルサイン測定を行い、終了まで状態の変化がないかを観察します。
消毒・回診
医師が病棟の患者を回診するときに、患者の準備をします。
- 患者にベッドに仰向けになってもらう
- ベッド上のライトをつける
- 医師が患者の消毒やガーゼ交換をすることを手伝う
- 医師に患者の状態の変化について報告する
- 医師に患者の希望を報告する
これは病棟の独自ルールが強い内容ですので、参考程度に思っていてください。
緊急入院受け
外来や救急外来に受診したり、救急車で来た患者さんが、入院が必要だと診断された場合、予定外で入院を受けることがあります。
基本的には定時の入院受けとやることは変わりませんが、患者の準備が整っていないことがあります。
必要な薬や書類について、家族の方に依頼します。
午前中の看護業務
8時~勤務開始、申し送り
8時に夜勤者からの申し送りを受け、日勤の業務開始です。
手術や検査など予定の業務がある場合とない場合で看護師の行動はかわります。
- 予定の業務がある:その準備
- 予定の業務がない:食事の介助
です。
~9時 食事・歯磨きの介助
1人でご飯を食べられない患者の食事の見守りやお手伝いをします。
詳しくは、58歩に記載しました。
9~9時半 環境整備
食事の援助がおわったら、ベッド上の掃除と、患者の物品の整理を行います。これは転倒予防と清潔を保つために行います。
これは急性期病棟でも、回復期リハビリテーション病棟でも、内容はかわりません。
靴や杖が遠い位置にあると、それを取るために患者が動いて転倒の危険が高まります。これを予防するために看護師は日々努力して指導、見回りを行っています。
バイタルサイン測定/入院受け/清潔ケア
環境整備が終わると、バイタルサイン測定です。体温、脈拍、血圧の測定と、問診を行うことにより、患者の身体状態、健康状態を確認します。
これが終了したら清潔ケアを行います。主には清拭(せいしき)といって、体を拭く手伝いをしたり、更衣の手伝いをします。
入院受けは、時間が決まっているので、その時間に合わせて、入院患者の案内を行います。このとき、薬や書類の確認を行っていきます。
11時~ 食前処置
糖尿病を持っている人には、医師が血糖測定の指示を入れていることがあります。
主に糖尿病関連ですが、食事の前に食前処置といって、血糖測定とインスリン注射、食前薬の内服を行います。
糖尿病は国民病ともいえるくらい珍しくない病気で、対象の人に対して処置を行います。
11時半 食事の介助
内容は回復期リハビリテーション病棟と変わらないです。
- 食事のお手伝い(介助)や見守りを行う
- 食事のセッティングを行う(食膳のふたをとったり、飲み物にストローをさす)
- 座る体勢のバランスが崩れていないかを見守り、適宜直す
- 看護師は患者の食事量を記録する
- 食事が終了した患者から病室へ戻し、歯磨きを行い、ベッドに戻す
食事は患者にとって1日の大きなイベントです。
ですが、健康な人と違って、食欲が出にくかったり、食事自体に疲れてしまうことも多々あり、無理強いもできないので、その見極めが大事です。
午後の看護業務
12時半~13時半 ナースコール対応
この時間は看護師が交代で休憩をとるので、つなぎの時間です。
13時半~14時 看護師カンファレンス
ここで看護計画の評価をしたり、患者が1人で歩けるかの検討をしたりします。
看護師は、治療がうまくいっていない患者さんや、通常とは異なる治療過程にある患者さんについて、会議を行います。
14時~16時 バイタルサイン測定、清潔ケア
午後もバイタルサイン測定を行い、体調をみてから清潔ケアを行います。
回復期リハビリテーション病棟とは違って、基本的には患者は今回の病気になる前の状態に戻るので、家族指導はあまり行いません。
までの生活から変更になったり、家族指導が必要だと判断したときは、家族指導を行います。
16時~17時 残務処理、物品カウント、勤務終了
急性期病棟は、残業は長めで時間も読めません。回復期リハビリテーション病棟とは逆で、看護師がどうしても病棟の外にいる時間があり、また緊急入院の対応もしなければならず、読めないことが多いです。
物品カウントは、体温計などのグッズを数えます。備品管理も看護師の仕事です。そして、これらが終了したら勤務終了となります。
まとめ
急性期病棟は、回復期リハビリテーション病棟に比べて、治療の内容が色濃くなってます。そのため、患者の日常生活に合わせて看護師が活動するというより、治療のスケジュールに合わせて患者を必要な場所に動かしていくことが看護師の役割である色が濃いです。
看護師の人員配置も多め、緊急入院や、緊急の検査、患者の状態の急激な変化など、不測の事態が起こる可能性も高く、1つ1つの業務をスピーディにこなす必要があります。
よく、「新人のときに急性期に行った方がいい」と言う人がいますが、急性期病棟や救命救急センターの新人看護師の離職率はほかよりも高いので、これは無責任発言です。
僕は新人で急性期病棟配属→1年で燃え尽きる→回復期リハビリテーション病棟へ→7年働く→消化器内科医病棟へ→通用する
ということで、経験を積んでからでも急性期は通用しました。賢い病棟選びをしていきたいところです。