真面目に返していいの?「気遣い質問」の表と裏 *61歩

コミュニケーション 生活

こんにちは!ユウジです。今回は、新人看護師や新入社員向けに、コミュニケーションの表と裏の意図について記事にします。

職場でのコミュニケーションは、仕事の成果を出すことが主目的です。職場はお金を稼ぐ場というのは共通認識であるので、コミュニケーションにおいても、仕事の成果を出す、あるいは効率的に成果を出す、ということが主軸です。

また、職場でのコミュニケーションは、仕事を越えた、人間関係の付き合い、恋愛、友人、本当の気遣いなど、仕事に関係しないものを存在します。これらのような、他人を大切にしたコミュニケーションは、素晴らしいものだと思います。(恋愛については、成就しなくても自分矢印ではない恋愛感情からくるコミュニケーションなら気持ち悪くはないはず💦)

ところが、そのように見えてそうでない方向性のコミュニケーションが存在します。それが他者への気遣いに見えて、発した側を気遣ってくれアピールが込められたコミュニケーションです。

  • 話の最後についでの、「他に何か困ったことはない?」
  • 業務終了時の、「何か手伝うことはありますか?」
  • 「だいじょうぶ?」

これについての実例を含めて説明していきます。

話の最後についでの、「他に何か困ったことはない?」

表の意味:そのまま、困っていることはありますか?話を聞きます

これについて、困ったことがありますと答えている人をほとんど見たことがありません。もちろんある場合は聞いて構いません。その意味合いが含まれた言葉ですから。ほとんどの人がこの言葉に対し質問しないのはなぜでしょうか。

それは、新人であるとなにが困りごとでなにが順調なのかということすらわからないことが多いです。困りごとなんだけど新人としては困りごとにみえていないことを困りごとにみえるようにすること、さらに解決していくことが経験を積むということです。

裏の意味:話を終わりたいです、いいですね?

どうしてもこのようなニュアンスが入って聞こえます。終わりたいんだけど、お茶を濁して相手に了解をとりたいんですね。話を区切るのが苦手な人が「他に何か困ったことはない?」と聞くんだと思います。

「他に何か困ったことはない?」と聞かれた人は、99%「大丈夫です」とか「はい」とか「わからなかったらまた聞きます」と答えるので、話が終わる確率が99%です。めんどくさいですね笑。

ではどうすれば快いコミュニケーションになるでしょうか

教える立場の人:「ではよろしくお願いします」

これだけでいいです。あなた力が必要ですという意味合いがこもります。教えられる立場の人が、「あ、ちょっと待ってください」と言いたくなるくらいでちょうどいいです。そしたらもちろん応じてあげてください。

「鬼滅の刃の新刊を買いに行かなきゃいけないから今日はまた」などと冗談で去ってもいいのですが、冗談が通じない人もいるので、そこは空気を読みましょう。

教えられる立場の人:「今は思いつきませんが、またわからないことが出てくるのでそのときはよろしくお願いします」

「他に何か困ったことはない?」と聞かれた場合の回答です。当たり前といえば当たり前のことを率直に言いつつ、相手の話を終わらせたい想いに沿っているので、悪い印象は残りません。

僕の負の経験

僕は新人看護師の頃に、会議のときにこの質問を受けたとき、「睡眠時間が減って困っています」と答えたことがあります。

教育係から、「睡眠時間はみんな減っているんだよ」と言われて、質問して損したと思いました。

まずそれを言われてよい心持ではなかったこと、仕事に慣れている人の睡眠時間が減ることと新人職員の睡眠時間が減ることは、全く意味が違うことを混同されたこと、困っていることに対して向き合われていなかったので不信感を抱きました。

人は信頼できる人に積極的に相談し、信頼できない人には相談しないので、素直に自分のことを話すってほんとうにリスクだと思いました。

業務終了時の、「何か手伝うことはありますか?」

表の意味:そのまま「大変そうですね、手伝います」

相手を気遣った言葉です。ですが、本当に相手のことを手伝いたいから発した発言でしょうか。

裏の意味:「私は仕事が終わっているので、帰って大丈夫ですね?」

聞くのは当たり前です。なぜなら、勝手に帰ったと思われず、快く帰りたいから。仕事を手伝わないことよりも、勝手に帰ることの方が反感を買いやすいです。自分の仕事は責任をもってやるけど、少し気にかけてくれたっていいじゃないという心理ですね。

これはコミュニケーションとして形になっているのでオススメ

予定はないけど早く帰りたい、自分の仕事は終わっているから職場に滞在する意味はない、そういうときは、「何か手伝うことはありますか?」と聞くのがいちばんひずみが起こりづらいです。

  • 「何か手伝うことはありますか?」:「ないです」といわれたら、他の人に同様に聞き、手伝うことがなければ帰って大丈夫!!
  • 「何か手伝うことはありますか?」:「これお願いします」といわれたらやるしかないけど、負担が少ない仕事のことが多い

他の言葉

  • 帰っていいですか:✖

言われた人が帰らないように拘束しているような言い方であるから

  • 仕事全部終わりました:✖

「で?」と返答が返ってくる典型例であり、何が言いたいのか、「お疲れ様」「帰っていいよ」と言われたいというニュアンスが出てめんどくさい。また、「(こっちはまだ仕事残ってるのに)」と反感を買う可能性あり

というわけで、「何か手伝うことはありますか?」は、お互いひずみを起こさないために重要なコミュニケーションです。

僕の経験では

ベテラン看護師として内科病棟に勤務していたときのことです。12月の勤務時間の調整のさなか、多忙でなければ日勤の勤務者を半日勤務にしてよいというお達しがあり、僕は土曜日が日勤、日曜日も日勤の勤務でした。で、土曜日に半日で帰れそうな落ち着いた流れだったので、自分で終わらせられる仕事は終わらせ、午後に定時にしなければならない仕事は依頼できるように準備しました。

そして、帰れることが決まると、声をかけられるすべてのスタッフに声をかけ、「今日半日で帰ることになりました、まだもう少し時間があるので、なにか手伝うことはありますか?」と粛々と聞きました。で、予定通り半日で帰りました。

翌日の日曜日、その日は3年目の米川さん(仮名)が帰れる番でした。米川さんはハキハキと仕事をこなせる人で、周囲から信頼されており、ほとんどなんでも任せられる人でした。ただ、実際に半日で帰れると聞いて、「わかりましたー!」と喜びながら、いつもに増してスピーディに仕事をこなし、僕と同様に、「手伝いますよー!はい、やります!」と元気よく取り組んでいました。

それを10年目のベテラン看護師の綾部さんが指摘し、「ちょっと帰りたいオーラ出しすぎ!!」「速くやったらケアが雑になるでしょ、私たちは患者の代弁者なんだからね!」とまあ怒ったわけです。

多少ショボンとしながらでも、米川さんは半日で帰っていきました。まあ、言葉として同じ「何か手伝うことはありますか?」でも、帰りたい思いが強く伝わってしまったらひずみが出るということですね。

「だいじょうぶ?」

表の意味:「大丈夫ですか?」

なにが大丈夫なのかがわからない質問です。心配している気持ちは伝わっても、大丈夫じゃないときに大丈夫じゃないですってなかなか言えないのが人間。でも大丈夫?と闇雲に聞いてしまうのも人間です。これは裏の意味はないです。が、配慮した気持ちがあっても相手には配慮されている感があるかどうかは、信頼関係のあるなしが影響します。

  • 身体的に大丈夫か?
  • 心理的に大丈夫か?
  • 仕事をおぼえられているか?
  • 仕事に慣れたか?
  • 今後やっていけそうか?
  • 困ったことはないか?
  • 手伝うことはないか?

どれを聞いてるのかが明確ではないので、かなり広く浅く、意味の伝わりにくい質問です。思考の整理ができていない場合は、大丈夫じゃなくても、「大丈夫です」と答えてしまいます。意味ないですね。

言う立場の人

  • 顔色悪そうだけど大丈夫?

心配なら、なにが大丈夫じゃなさそうかを付け加えるのが大事です。

  • 仕事はおぼえられましたか?

と心配ではなく、そのままの意味で聞く。これでも広いと思いますが。

言われた立場の人

当然、大丈夫なときは大丈夫でよいです。

だいじょうぶでないときにだいじょうぶと返さない方がいいです。その後のサポートを受けられない可能性もあるし、自分のことが分かっていない人というレッテルを貼られます。
でも、素直に言ってしまうと先ほどの睡眠時間が減った→みんな減っている という無意味な回答をもらいかねませんので、信頼関係と、回答内容は考えなければなりません。

  • だいじょうぶじゃないです。だいじょうぶじゃないことが複数あり、整理しきれていないのが現状です。まず整理してから、相談するべきところはお声掛けます。

と言うしかないです。もちろん、体調が悪い場合は預けるところを預けてきっちり休むようにしてください。病休休暇も権利ですから。

まとめ

このように、声掛けた内容とは違う裏の意図があるコミュニケーションが存在します。それがどのような方向に向かっているのか、よく意識しながら、回答していきたいものですね。

質問のレベルの諸段階