食事のケアのポイント 見守りが中心 *58歩
こんにちは!ユウジです。今回は、食事の見守りケアのポイントについてです。
※この記事は、教科書に書いてあることを踏まえ、現場ならではのコツや応用を含めてわかりやすく書いておりますので、基本的な部分は基礎看護の教科書をお読みください。
食事についてのおさらい
食事のついての援助は、食事の生物的・社会文化的・心理的な意味あいを満たすとともに、五感に働きかけ、動作として必要なことを満たすことが超重要です。
食事は、生物的、社会文化的、心理的な行為
それぞれの意味は、
- 生物的な意味:生きるために必要な栄養分を摂取する
- 社会文化的な意味:人との交流のためのイベントの1つ
- 心理的な意味:楽しみ
こんな感じです。心理的な意味として患者の食事を満たすのは難しさがあります。患者、特に高齢者の人にとって食事は楽しみというより疲労を生じやすいものなのですが、意味がわからなかったらすみません💦
食事は五感がかかわる数少ない人間の行動の1つですので、援助を受ける人が五感がきちんと働くかについてのアセスメントも重要です。看護師の援助内容にかかわってきます。
食事動作
食事動作については、姿勢保持、上肢の動作、咀嚼嚥下が主な動作です。
- 姿勢保持:ほとんどが座位、まれに臥位
- 上司の動作:食器を使って食べ物を口に運ぶことができるか
- 咀嚼嚥下:食べ物を噛んで飲み込めるか
食事ケアの実際
食事をセッティングすること、見守ること、食事介助をすることをあわせて食事ケアとします。
主に認知症が進行した人が、自分で食事をすることが難しくなっているというのが日本の現状です。手がきかない、飲み込みが難しい人よりも、食べ物の認知が難しい人が、口元にまで食べ物を運んでもらって食べているということが食事介助の現状です。
また、高齢になったり廃用症候群になったりすると、嚥下機能(のみこむ力)が弱まるので、食べ物をうまく飲み込めずに気管に入ってしまう事=窒息 が、最も危険です。その次が誤嚥性肺炎です。つまり、気管に食べ物が入らないように食べられているか配慮することが大事です。
窒息を避けるか、窒息を早期発見して対応できれば食事に関する危険はクリアできるので、看護師は患者が窒息していないか、ムセていないか、正しい姿勢で食事できているかを確認する必要があります。そのため、窒息のリスクがある患者は、食堂で食べてもらう、家族に来てもらうなど、人の目が届きやすい状況で食事摂取をしてもらうことが大事です。余談ですが、食事介助については患者1人に対して看護師1人付くことになるので、人手がいります。そのため、食事介助が必要な患者は、可能な限り家族に来てもらい、家族に食事介助をしてもらえるよう要請することが多いです。
食事の見守りが必要な人
食事動作は1人でできるけど、高齢であったり、嚥下機能が低下していたりで、窒息のリスクがある患者には、継続的、もしくは断続的な見守りが必要です。リスクとは、以下の要因を持つ人です。要因と理由を記述します。
- 高齢者:高齢による嚥下機能の低下
- 脳血管疾患患者:麻痺による嚥下機能の低下
- 廃用症候群患者:活動低下による嚥下機能の低下
- 寝たきりの人、寝たきりだった人:同上
- なんらかの影響で食事を最近摂取しはじめた人:同上
- よくムセる人:何かの要因で実際に気管に食べ物が入りかかった人、ただしムセは気管に入った異物を喉に戻す動作なので、対処する力があるともいえる
- 食事スピードが速い人(かき込む人):呼吸をしながら嚥下をしてしまいやすい
- ミキサー食、易咀嚼食、とろみ食、嚥下食などを食べている人:医者が嚥下機能が低下していると考えて指示した食事内容
- とろみがついた食べ物を好む人:なんらかの影響で気管に入りにくい食べ物を生理的に好んでいる
- 窒息したとして、迅速に訴えることができない人(ナースコールを押せない人)
そして、現場の感覚では、実際に窒息する人は、食事介助を受けている人ではないことが多いです。
これは、7.食事スピードの速い人があまり咀嚼(かみ砕く)をせずに飲み込もうとして気管に食べ物を詰まらせてしまうケースがほとんどだからです。
食事スピードが速い、というのは、客観的にみて速いこともありますが、その人にとって十分な咀嚼をせずに飲み込んでしまう、主観的な速さもあります。
食事を見守るケアの実際
- スクリーニング
- 食堂で食べてもらう
- 姿勢確認
- ムセ確認
- 手が止まっていないか確認
- 顔色確認、苦しそうな表情か、呼吸の確認
リスクがある人をスクリーニングする
前項を参考に、リスクのある人とない人をふりわけます。
観察してまわる
患者さんには、基本的に食堂で食べてもらうことで看護師の目が届きやすくなるので、食堂での対応とします。
食事が始まったら、食事を観察してまわります。
正しい姿勢で食べられているかを確認し、よく噛んで飲み込むように声をかけていきます。ただし、しゃべりすぎると食事の邪魔になったり、しゃべったまま食べるのは誤嚥する危険があるので、最小限の声掛けにとどめます。
MRSA感染者など、食堂で食べられない患者もいるので、注意が必要です。リスクがあり、自分の部屋で食べる患者さんに対しては、看護師は頻繁に食事状況を見に行き、ナースコールが押せる位置にあるかを確認します。
手が止まっていたら、顔色をみて、苦しそうな表情がないか、ちゃんと呼吸をしているかを確認します。
窒息の場合
- 顔色が青白い
- 呼吸をしていない
- 受け答えがない
この場合は窒息ですので、
- まずは冷静に、大声で他の看護師を呼ぶとともに吸引機の準備
- すぐに吸引をする
- 呼吸状態をみる
冷静に、っていうのが超絶大事です。冷静にって自分に念じれば、冷静になれます。
まとめ
食事ケアにおいて、食事介助と食事見守り、食事の自立は、単純に介助が必要な人がリハビリが進むと見守りになり、のちのち1人でできるようになるという1本の路線でいくわけではありません。
- リスクのある人をスクリーニングする
- 窒息しないよう患者の姿勢を整え、よく噛んで飲み込むよう注意を促す
- 窒息を発見したら冷静に対応する
どうしても食事が楽しみ、とは違う方向性になってしまうのが難しいところですが、食事ケアに理解を深めて、実践していきましょう!!