看護師の業務内容 療養上の世話 診療の補助について *87歩
こんにちは!ユウジです。今日は、看護学生や新人看護師向けに、療養上の世話・診療の補助の実際の業務内容について深堀りしていきます。
保健師助産師看護師法第5条における、「療養上の世話又は診療の補助を行うことを業とする者をいう」これの具体的な説明です。
看護師の業務内容は、療養上の世話、診療の補助に分類できる
看護師の業務内容は療養上の世話、診療の補助の2つに分類できます。
混合していて大別できないものもあるのですが、大方は分類できますので、順に説明していきます。
療養上の世話について
療養上の世話の概要
療養上の世話とは、患者がけがや病気で受ける負の影響を限りなくゼロに近づけるための介入のことをいいます。
患者のニードを満たす援助とも言い換えることができます。
ケガや病気になった人は、日常生活を送るために普通にできていたことが、ケガや病気のせいでできなくなったりします。
これを満たせるよう、看護師は援助をしていきます。
日常生活を送るために普通にしていること、これをADL(Activity of Daily Living、日常生活活動)と呼んだりします。
この用語はどこの病棟でも使うので、おぼえておいたほうがよいです。というか、おぼえなくても自然におぼえるくらいメジャーです。
また、ADLだけでなく、日常生活における安全も患者が自分自身で守れないことがあります。
ここでいう安全が守れないとは、転倒、点滴やルート類など必要な医療器具を抜いてしまうこと、薬を間違えて飲んでしまうことなどを想定しています。
特に高齢者や小児はその傾向が強いので、患者が自分でできない場合の安全管理を行うのも、看護師の仕事です。
療養上の世話の実際
これは簡単に言うと日常生活援助です。
できないことはなにかを考え、できないことを援助して生活を成り立たせる、ということを看護師は患者の24時間の生活の中で行っていきます。
- 清拭(体を拭く)
- 更衣の援助
- ポジショニング
- 移動・移乗の援助
- トイレの援助
- 食事の援助
- 環境の整備
- 転倒の予防
患者が自分でできることまで援助をしないことが重要です。
患者が自分でできることは尊重し、患者の状態をみきわめ、患者が自分でできることを増やせるよう身体的・精神的・指導的に関わっていくことが大事です。
診療の補助
診療の補助の概要
診療上の補助とは、医師が患者や褥婦に対して必要な治療や処置(多くは点滴や内服薬などの投薬、傷の消毒など)を看護師に指示して看護師が実施するという内容です。また、採血検査の実施、細菌検査の実施もこれにあたります。
診療の補助の実際
医師の指示であり、医学上必要な治療のうち、法律上看護師が行えるものを実施します。
- 点滴、注射
- 採血
- 内服の補助
- 軟膏を塗る
- 点眼・点鼻・点耳の薬の投与
- 医療機器を扱う、管理する
- 酸素吸入
これらは、実施の型が決まっており、患者の身体状態によって医師が設定を変えることがあっても、実際に行う手順はほとんどかわりません。患者によって介入の方法をかえるという内容のものではなく、医師の指示に応じてもれなく実施していくことが求められる内容です。
分けられないもの、混合しているもの
分類できないものもあります。
- バイタルサイン測定
- 個人情報保護
- 喀痰吸引
- 看護記録業務など
- 身体拘束、安全管理
バイタルサイン測定に関しては、患者の状態を確認したいときに看護師が自主的に行うこともあるし、医師の指示で1日3回してくださいという内容のものでもあります。
個人情報保護は、個人情報保護法と刑法134条における守秘義務によって、業務上知りえた内容を漏らしてはならないというダブルバインドによってしなければならない内容です。余談ですが、これが医療の閉鎖的な雰囲気の原因になっています。決まりなのでしょうがありません。
喀痰吸引については医療行為ですが、呼吸の援助という日常生活援助の一部でもあります。
看護記録業務は、法的にもしなければならないのです。基本的に看護師に向けて書いていますが、医師やその他の職種が看護記録を参考にそれぞれの計画を立てることがあるため、診療の補助ともいえます。
身体拘束や安全管理については、患者が点滴やドレーンなどのチューブ類を自分で抜かないために行われます。これも点滴が滞りなくいくようにという観点では診療の補助、身体拘束は継続するものなので、療養上の世話でもあるということです。
まとめ
療養上の世話、診療の補助は看護業務を説明するうえで重要な法律用語なので、これはきちんと暗記しましょう。
法律だと文面がかたくだるいのですが、看護師の法律で重要なのは保健師助産師看護師法と、労働基準法なので、ここだけ抑えておけば損はないかと思います。
関心が向くなら、その他の看護師が関係する法律について、調べれば得することもあるかと思います。