看護師単発バイトにおけるデイサービスでの看護業務 *8歩

看護師 看護師の働き方

こんにちは!

ユウジです。今回は、看護師単発バイトにおけるデイサービスの看護業務と注意点を、10回以上経験した視点から紹介します。

※ここでの対象者様とは、要介護・要支援の高齢者の方がメインですが、65歳以下の方もサービスの対象に含まれるため、一括して対象者様と表現します。

看護師単発バイトの概要は、過去に紹介した通りです。

【働きやすい?】派遣看護師の働き方の特徴と実際 *3歩

デイサービスでの看護業務の1日の流れ

ご挨拶・準備

まずは就業先の施設に行き、
「〇〇(派遣会社名)から来ました△△(あなたの名前)です。本日はよろしくお願いします」
と挨拶し、更衣室の場所を聞きます。
最初は緊張しますが、きちんと挨拶ができることでコミュニケーションが円滑になります。
僕の経験では、施設長に挨拶をしたところ、「初めてちゃんと挨拶をされました」と驚かれたことがあります。
ユニフォームに着替えたら手洗いを済ませます。
※ユニフォームは貸与が多いですが、持参の場合もあります。

出迎えとご案内

事業所のスタッフの方が、車で対象者の方を連れてくるので、事業所の玄関で引き継いでご案内します。
このとき、靴の履き替え・手洗い・うがいを行ってもらい、上着と荷物を預かります。そして、多くの場合は席が決まっているので、その席に対象者様の日常生活での移動方法に合わせて、歩行、車いすなどでご案内します。
荷物は主に、連絡帳、着替え(入浴時に必要)、内服薬、酸素ボンベ(必要な方のみ)です。

体温・血圧測定

対象者様が座席に着席したら、体温・血圧測定をします。これらの測定の目的は、その日の体調確認と、★入浴が行える体調かどうか? です。
デイサービスでは自動血圧計が備わっているところが多いですが、特に血圧が高めの方は、聴診法で測定し、より正確な数値を把握します。
もし高値を示した場合は、常勤の介護スタッフの方に報告し、入浴介助を後回しにしてもらい、時間を空けて再検します。

入浴後の軟膏をつける

入浴後に薬を塗る方の皮膚の状態を確認し、薬を塗ります。このときプライバシーを守ることを忘れずに行います。

記録業務

主には体温・血圧測定の数値の入力と、実施したリハビリ内容、その他デイサービスでの過ごし方などを施設の記録様式に入力します。
また、対象者様がそれぞれ連絡帳を持ってきており、対象者様が訪問看護を受けている場合の申し継ぎの内容や、対象者様のご家族に知ってもらいたい内容を記載します。記録の提出先が複数あることがデイサービスの記録業務の特殊な点です。

リハビリの実施

施設によっては、対象者様にトレーニングの器具によるリハビリテーションを促したり、歩行を介助して歩行練習を行うということを依頼されます。それぞれ、安全に配慮しながら実施していきます。当たり前ですが、対象者様によって認知機能、運動機能が違うので、

・注意点について対象者様に声をかけること
・必要だと判断したら対象者様を見守ること
・対象者様が歩行のバランスを崩したときに、手を差し出せる位置にいること

これらに注意して、実施していきます。万が一対象者様が転倒してしまったら、骨折などが起こってしまうとその時点から対象者様の生活がガラリと変わってしまう危険性を秘めています。そうならないために、予防はとても大事です。

口腔体操

食事前にパタカラ体操や早口言葉で唾液を出しやすくし、食べ物を飲み込みやすくすることで誤嚥(ごえん、誤って食べ物が気管に入ること)を予防するための体操を、看護師が対象者様の前に出て実施します。
マニュアルがありますので、その通りに声を出しながら実施していきます。
看護師は、前に立ってたくさんの方に説明する仕事はほとんどないので、苦手な人もいると聞いたことがあります。
対象者様は、折り紙など他のレクレーションをやっていることもありますが、

「口腔体操始めますよ!」
「続いて声を出してください、パ!」

と声をかけると、

『パ!』

と声を出してくれる方も多いので、僕は楽しくやっています。

食前薬とインスリン注射の実施

食前薬をいつも内服している対象者様に薬を飲んでもらいます。介護スタッフの方が把握されていることがほとんどですが、誰が食前薬を飲むのか、確認を事前に行っておくことが重要です。
また対象者様の中には、インスリン注射を行っている方がおり、必ず食前に行うとも限りません。これは常勤の介護スタッフの方が把握しているので、依頼をされて行うことになりますが、
「インスリン注射を行う方はいますか?」と聞いてもよいと思います。これで実施忘れを防げます。それだけ大事なことです。

配膳と食事介助

食膳に名札がある場合は、名札と対象者様の名前を照合し、配膳していきます。
名札がない場合は、配膳はせずに食事介助を始めるのがよいと思います。理由は注意点でまとめます。
食事を1人で食べられなかったり、途中で疲れてしまう対象者様は、食事介助をして、お手伝いで食事から栄養を摂取してもらいます。
食事介助では、対象者様のご飯を食べるペースを守って食べ物を口に運ぶようにしていきます。
また、周りを見回し、食べ物を喉に詰まらせている対象者様がいないかを常に確認するのも重要です。

食後薬の内服

食事が終了した対象者様から、食後薬の内服を実施していきます。一人一人確実に飲み込んだかを確認します。

歯磨きへのご案内・介助

食事が終わった対象者様に、歯磨きとうがいを促したり、お手伝いをします。

ベッド臥床

ベッドに横になることを希望される対象者様もおります。高齢者ではずっとすわっているのはしんどいのは想像がつくと思います。そのような方を、ベッドに臥床させて休んでもらいます。

配茶

対象者様のティータイムの準備をします。デイサービスによっては、コーヒー、茶、カルピスなどから対象者様の好きなものを選択できるので、これらを作ります。

トイレ介助

対象者様によって身体機能が異なるので、当然トイレの際に必要な介助が異なります。わからないなら介護スタッフに尋ねて、トイレ介助を実施します。

レクレーションの付き添い

午後は対象者様はカラオケをしたり、絵をかいたりとレクレーションの時間です。手が止まっている対象者様がいたら促したり、お話をしたり、カラオケでマイクを回したりします。

帰宅準備・見送り

デイサービスは車で送迎していることが多いので、五月雨式の帰宅の案内になります。時間は決まっているので、これに合わせて外履きの靴を履いてもらったり、トイレを済ませてもらい、上着を着てもらって帰宅準備をしてもらい、時間がきたら見送ります。

清掃・消毒と翌日の準備

机、テーブル、リハビリ器具、手すりなどを消毒し、洗面台とトイレを掃除をします。翌日来所予定の対象者様の名札を設置します。また、ベッドメイキングなどを行います。

業務終了とご挨拶

業務終了時間になったら常勤の介護スタッフの方にタイムシートを確認してもらいます。また、使用したユニフォームを置く場所について教えてもらい、

「ありがとうございました」

お礼を言って終了します。

看護師単発バイト(デイサービス)での注意点

ここではデイサービスの単発バイトを10回以上行った経験からの注意点を記述します。1つの考え方として参考にしてもらえればと思います。

食膳票がない場合は配膳はお任せする

目的:配膳間違いを防ぐ

配膳票があれば座席表と呼名で名前を確認できますが、配膳票がない場合はその施設独自のやり方でやっていると思ってもらっていいです。全員同じ食事を配膳するのならいいのですが、ご飯を食べずに帰る対象者様がいる場合も考えられ、初めて来た派遣看護師がそれを見分けて確実に配膳するのはほぼ不可能です。

名札がない場合も配膳を依頼されることはありますが、わかっている、できると思われて依頼される場合も少なくありません。配膳を間違える、食べない人に配膳してしまう、これはインシデントなので、

・食事介助が必要な対象者様について介助する
・配膳の仕方がわからないので他にやることはないか聞く

など手持ちぶさたにならずに配膳は常勤の慣れているスタッフの方にお任せするということも重要かと思います。

清掃・消毒業務は積極的に行う

目的:派遣看護師は対象者の情報を収集しきれないので、補助的な業務の方が無難
清掃や消毒業務は、デイサービスで依頼されることがあります。これらも快く引き受けて実施します。なぜなら、どうしても派遣看護師は1日限りで手伝いに来ている、という側面が強く出てしまうので、やり方を教えてもらえばあとは1人でできる清掃業務、消毒業務の方が、情報収集が十分とは言い難い対象者様の移動の介助をしたり荷物を扱ったりするよりは、間違いが起こりにくいと考えます。

わからないことはわかるまで聞く

目的:スタッフ同士で意思疎通ができなかったら損をするのは対象者様
派遣先で、

「もっと動いてください」
「カラオケに誘ってください」

などと依頼をされたことがあります。
これでは具体的に何をすればいいのかわからないので、

・何をすればいいのか?
・誰をカラオケに誘えばいいのか?

を自分がわかるまで聞かないと、やるべきことが対象者様に充足されない結果となります。
派遣看護師に対して、

これくらいはわかっているでしょ

と考えて依頼をする介護スタッフの方もおり、それが迷わずわかればいいのですが、わからないことも少なくないです。対象者様に必要なケアを届けるために、依頼された内容は、誰に、何を、どのように 介入すればいいのか をきちんと確認するべきです。
僕はスタッフAさんに、「カラオケに誘ってください」と言われたとき、

僕「誰を誘うんですか?」
Aさん「その3人です」
僕「その3人って誰ですか?」
Aさん「Bさん Cさん Dさん です」

と聞き返してAさんにはかなりイライラされましたが、常識的に見てイライラする内容でもないし、イライラするのはAさんの都合であって僕の都合ではないので、淡々と質問しました。

わけのわからない資料にサインをしない

施設によっては、ケア記録にサイン、出勤簿にサイン、実施する運動プログラム(DVD,器具など)について一読したらサイン、など、サインを求められることがよくあります。記載した内容に責任を持つ、ならわかりますが、出勤簿や運動プログラムなどのサインの用途はよくわかりません。