【看護師のコミュニケーションの特徴】一般社会との違いを7つ(後編)
こんにちは!「人に優しく、人を楽しませる」コミュニケーションが信条で、日本を、世界を癒しの力で包み込みたい看護師タレントユウジです。
今回のテーマは、「看護師と一般社会でのコミュニケーションの違い」です。
先日こんなツイートをしました。
看護師と一般社会でのコミュニケーションは、かなり違う
・患者の生活がかかっているので必死
・時間がないので必死
・看護師経験が豊富だと強気
・優先順位が看護師・看護助手・看護学生は低い
・謎の専門用語
・高齢者の患者に対してタメ口
・看護婦さんと呼ばれたら男性でも返事をする— 看護師タレントユウジ(テアトルアカデミー大阪) (@nursetalentyuji) November 2, 2020
看護師と一般社会でのコミュニケーションは、明らかに違う点があります。
看護師のコミュニケーションは、一般社会に比べて、敷居が高いです。つまり、独自性が強くて、初めてこの集団に入る人にとっては難しさがあります。
これが、
- 新人看護師(看護師1年目)
- 看護学生
- 新しく看護助手として働き始めた人
これらの人にとっては、看護師のコミュニケーションは、
- 馴染むのが難しかったり
- リアリティショックを受けたり
- 困難感を持ったり
します。昔の僕もそうでした。看護師1年目では馴染めず、2年目で異動をしてからが看護師人生の本当の始まりでした。
一般社会と比べて看護師のコミュニケーションがどう違うのかをわかったら、以下のことに対策できます。
職場での人間関係に必要以上に不安にならない
このままの自分でやっていけるか不安
過去の自分に届いてほしい、または過去の自分と同様に悩んでいる人の助けになりたいと思って記事を書きます。
この記事をぜひ読んでもらいたいのは、こんな人で、こんなことに貢献できます。
- 新人看護師さん;ある程度のデフォルトがわかるから準備ができ、コミュニケーションに関するリアリティショックを和らげる
- 看護学生さん;看護学生さんなら実習にある程度馴染めるようになる
- 看護師なろうかなという人;世間との違いがわかる
まとめると、これらの点で貢献できま、知らない不安から解放します。
今回は後編ですので、前編をまだご覧になっていない方は、前編からどうぞ。
【一般社会との違い】優先順位が患者・医師が高く、看護師・看護助手・看護学生は低い
患者に対するコミュニケーションの優先順位が高い理由
これはどんな人でも当たり前だと思ってもらえると思います。
看護師だけでなく、医療職者は患者・家族の健康のために課された仕事をすることが使命ですから、患者・家族を第一に考えることが普通です。
医療の現場では、友達付き合いのときのように相手よりも自分のことを優先させることは許されません。まあ、友達付き合いでも許されないかもですが、、。
ただし、患者さんが、「体を拭きたくない」と言ったときに、はいそうですかと引き下がるのではなく、
- 「どこか体調で気になることがありますか?」
- 「何か心配事や気持ちが沈むことがあるのですか?」
- 「昨日も拭いていないから、拭いてリラックスしましょう、さっぱりしますよ!」
という患者さんの話をよく聞いて、医療職者としての意見をしっかり伝えることも大事な役割です。
一般企業やホテルを例にとると、クライアントの要求はその通りにしなければなりません。しかし看護師は、患者さんの健康面で悪影響を及ぼす内容をリクエストされた場合、丁重にお断りをする必要があります。また先ほどの体拭きの例のように、患者さんの健康面で良い影響を及ぼす内容については、積極的に勧めていく必要もあります。それが患者さんを第一に考える、ということです。
医師に対するコミュニケーションの優先順位が高い理由
医師というのは権威のかたまりで、医療職者というのは法律上、医師の仕事の一部を肩代わりしてできる人、という解釈ができてしまいます。だから、
「医師は病院での権威、つまり偉いんだからちゃんとした態度で関わりなさい」
と指導する看護師の方はたまにいます。でも、看護師がコミュニケーションをとるときの優先順位で、医師が高い理由はちょっと違うと僕は考えます。
- 患者の医療処置に関する指示変更には敏感である必要がある
- 医師は病棟からすぐにいなくなるので、聞きたいことがすぐに聞けなくなる
- 医師のキャラによって依頼できる範囲が変わってくる
この3つの理由から、医者に対するコミュニケーションの優先順位が高くなります。医師や患者に対してコミュニケーションの優先順位が高くなるから、看護師や看護助手、看護学生に対してはどうしても優先順位が下がってしまう、ということが実際です。
【一般社会との違い】一般社会では使わない謎の専門用語
業界用語というか、一般社会では使わない用語がたまにあります。ここでは2つ紹介します。
「ひんかいにほうしつします」
これは、ひんかい=頻回、ほうしつ=訪室 の漢字になります。意味は、患者さんの病室に行く頻度を増やします、頻度を増やします、ということです。つまり、通りがかったとき、他の患者さんのケアの前後、15分毎程度、患者さんの元へ行って確認します、というニュアンスです。多くは転倒予防や点滴を抜いてしまわないかの確認のために行くことになります。
文字数が同じなので、「頻回」が、なぜ「頻繁」ではないのかがいまいちよくわかりませんが、「訪室」は「病室に訪れる」の略で、「頻繁に行きます」よりは「頻回に訪室します」の方が確認、観察をするニュアンスが伝わります。が、初めての人にとっては???だと思います。
僕は、新人看護師のとき、この、頻回がどれくらいの頻度であるかを先輩に質問しました。看護師は1日の歩数が10000歩程度は行くので、通りがかったとき、ということが確認する頻度を上げることになります。
今朝(けさ)をこんちょうという
これはスーパー謎です。今朝が2文字で聞き逃す可能性が高いのはわかりますが、そもそも6時、7時などと時間で言う方が正確です。僕は最初、この言葉を聞いたのは、
「410号室の患者のBさん、消灯前体温38度8でボルタレン座薬使用、こんちょう36度4でした」
という引継ぎ内容でした。こんちょう??ん?なんだ?かんちょう?浣腸?いや、違うな、、今=こん、朝=ちょうで今朝か、けさということか。と納得しました。
普段使わない言葉が飛び交うので、初めての人にとっては???です。でも不思議と、病棟師長さんは、看護師の言葉のぶっきらぼうさは注意しても、伝わりやすい言葉で言いなさいとは中々注意しないんですよね。
【看護師のコミュニケーション】高齢者の患者に対してタメ口が多い
タメ口よりも敬語を勧める理由
タメ口は気を付けましょう。理由を説明します。
看護師は昔から、高齢者の患者さんに対して、タメ口を使う癖があります。相手は高齢者であってもクライアントですので、今の時代、言葉遣いについて気を付けたほうがいいかもです。
その理由は3つです。
- 患者は看護師の言葉遣いや態度に敏感
- 患者は笑顔で耐えている可能性がある
- 患者にタメ口を使っている先輩看護師が、新人看護師が患者にタメ口を使うことに対して注意する
患者さんは看護師が思っている以上に、看護師のことをよく見ているので、でかい態度やとがった言葉遣いを使うと、クレームにすぐに発展します。ただ、笑顔ではない、優しさが足りない、などという指摘をもらったことがありますが、そこは患者の過大な要求として病棟としては問題になりませんでした。あくまでも否定的な、暴力的ととれる言葉遣いと態度は避けた方がいいということです。
また、高齢者の患者からすると、自分よりも30歳、40歳年下の看護師からなんで敬語を使われないんだと思いながらも、世話になっているからと耐えている患者さんもいらっしゃいます。患者さんをケアする看護師が、知らず知らずのうちに患者に耐えさせているのは避けたいです。
そして、一番注意したいのが、先輩が患者さんにタメ口を使っているからと新人看護師が患者にタメ口を使うと、その先輩から注意されるということです。看護師あるあるです。「患者に対する言葉遣いがなっていない」と直接もしくは人伝いで注意されます。ふざけんな、理不尽、と思われると思いますが事実です。これめっちゃ多いです。
親しみをこめて患者さんにはタメ口で、と言う看護師がいますが、クレームになる可能性がある以上、敬語は使っておいた方がいいです。敬語は敬う言葉、身だしなみとして基本的に職場では誰にでも使うようにしましょう。小児科ではどうか?と思われそうですが、小児科は経験がないので除外でお願いします💦
誰にでも敬語、とここで言いつつ、僕は先輩看護師に対してタメ口、患者さんに対して敬語だったりします笑。
【看護師のコミュニケーション】看護婦さんと呼ばれたら男性の看護師でも返事をする
患者が看護師を呼んでいると解釈する
2001年に女性の看護婦、男性の看護士の統一呼称として看護師になり、看護婦とは法律上呼ばなくなったわけですが、看護婦さんという呼称は今でも存在します。
僕は、看護婦さんと呼ばれたら、必ず元気よく「はい!」と返事をします。なぜなら、患者さんが何かを手伝ってほしいか、何か聞きたいことがあるから。少しだけ、男性もいるんだから看護師と呼んでほしいという気持ちもありますが、患者にはあまり関係がありません。まあ、説明をするときに、「○○のときは看護師を呼んでください」などと言ってささやかに「師アピール」をしたりします。それでコミュニケーションがかみ合わなくなったことはないし、男性が来たからといってクレームやトラブルになったこともありません。
セクシュアリティに関わる場合は、笑顔で交代
女性の患者さんで、座薬をしてほしいとか、お風呂の手伝いをしてほしいなど、そういうセクシュアリティにかかわる場合は女性の看護師を希望される場合があります。
そういうときは、「あ、呼んできますね!」と笑顔で交代します。それでOKです。
もしかしたら、女性の看護師の希望を申し出ていない患者さんの中で、敬語を使ってもらいたいのと同様、男性よりも女性に介助してもらいたい気持ちが患者さんにはあるかもです。でも、敬語との違いは、性別は簡単には変えられないことです。患者さんも、性別を変えられないのはわかっています。そこはフィジカルと、丁寧さでカバーして、自分らしく患者さんと接していく。患者さんには、男性の看護師さんではなく、川名さん(僕の苗字)として認識してもらって関わっていくことが大事です。
まとめ
- 優先順位が患者・医師が高く、看護師・看護助手・看護学生は低い
- 謎の専門用語(頻回に訪室する、今朝をこんちょうと言う)
- 高齢者の患者に対してタメ口が多い
- 看護婦さんと呼ばれたら男性でも返事をする
後編はどちらかというと、看護師あるあるが中心になりました。特に、タメ口は慣れてくると使いたくなっちゃうのですが、そこはデメリットもあることをおぼえておいてもらえればと思います。
前編をご覧になっていない方は、ぜひご覧ください。
【看護師のコミュニケーションの特徴】一般社会との違い7つ(前編)
看護師のコミュニケーションは、はっきり言うと敷居が高いです。つまり、独自性が強くて、初めてこの集団に入る人にとっては難しさがあります。新人看護師が職場に中々馴染めない、看護学生が実習で完全によそ者扱いされてつらい、ということはよくあります。また、看護師になろうかと悩んでいる人には、人間関係は気になるところだと思います。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。
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