日本陸上競技連盟が発表した陸上競技活動再開のガイダンスについて【競技会】
こんにちは!ユウジです。
陸上競技場は2020年7月現在、ほぼ解放されて利用できる状況かと思いますが、試合に関しては中止・開催が分かれていることかと思います。
今回は、日本陸上競技連盟が発表した陸上競技活動再開のガイダンスについて、書面ではわかりにくいところがあると思いますので、【競技会開催について】の部分を、要約・解説します。これは競技会開催はかなり厳しい基準をクリアしなければならないと思います。なぜこんなに開催が中止になっているのかがわかってもらえるかと思います。
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→陸上競技活動再開のガイダンス策定のお知らせ
→陸上競技活動再開のガイダンス 概要
→競技会開催について
競技会の開催についての前提条件
下記1.~5.を全て満たせば開催ができます。
- 緊急事態宣言が解除されている
- 競技会開催を管轄する自治体からイベントの開催が認められている
- 大会開催都市もしくは地域において、新型コロナウイルス感染症に関する緊急時の後方支援病院がある
- 競技会に関わる全ての人(審判員・競技者・コーチなど)の健康状態の管理体制を整える(開催 1 週間前の体調管理および検温の報告義務、および終了後 2 週間の体調管理・検温の義務)
- 陸上競技活動再開についてのガイダンス「競技会開催について」に沿った競技会運営をする
3.以外の内容に関しては、〇✖は簡単に判断できるものです。3.だけは、開催しようとしている地域の後方支援病院が、「どういう状態がある」「どういう状態がない」といえるかは、困難です。さらに、後方支援病院がスポーツの試合の支援をする余裕があるか?ということも判断が難しいですよね。
競技会開催での基本注意事項
- 三密を回避
- 感染症対策;手指消毒について、マスクの着用について
- 主催者としてすべきこと;消毒の徹底、消毒剤の準備、感染症予防対策マニュアルの作成
- 競技会に関わる全ての人がすべきこと;接触確認アプリの活用、2 週間以内に発熱などの症状があった場合は医療機関に相談後に必ず大会主催者に報告する
競技会自体を医療機関と連携したり、僕みたいな資格を持っている陸上競技者など、専門の知識がある人と組まない限り、感染症予防対策マニュアルの作成は難易度が高いと思います。もちろん、無資格者であっても勉強をすれば作成できるものだと思います。
競技会での配慮事項
- 感染防止策を講ずる;3密を回避してソーシャルディスタンスを保つ
- 競技者に対して実施する;競技会前1週間の健康管理チェック表の提出と個人情報の保護、チェック表未提出者・不確かな者の参加不許可、運動していない時にマスクをしていない人に対する注意 等
- 消毒剤の準備と実施
- 医師・保健師・看護師いずれかの常駐
- 個人防護具(フェイスシールド、ゴーグル、手袋、マスク、白衣)の準備
- 発熱者用の隔離できるテントの準備
- 競技役員と競技者の動線をできる限り分ける
2.の不確かな者というのは、
- 体調が不良そう
- 顔色がほてっている
- 鼻水、咳がある
となっております。鼻水と咳は客観的に見てわかるものなので、この症状があれば参加ができないという解釈でよいです。
顔色がほてっていても運動をしていればそりゃそうですし、体調が不良そうっていうのも、見ている人によって解釈が違ってくるので、競技係員に尋ねられたとしても、参加不許可の措置は妥当ではないです。
チェック表については、未提出の者に対しては参加不許可というのは厳しい措置だとは思いますが、時世を考えるとしょうがないことだと思います。
対象者毎の配慮事項
競技会に関わるすべての人について
- 大会 1 週間前から体調管理チェック表を記入し、大会当日、主催者に提出する;体調不良者、身近に感染疑いのある者がいる場合、14日以内に入国制限の国・入国後観察措置を義務付けられている国からの渡航者と濃厚接触した場合は参加自粛を要請する
- 競技者数、役員数を調整する
これはどこでもよくみる表現です。
対象者毎
- 競技者;シャワー室の使用不可、競技中につばを吐くことは極力行わない
- 競技役員;65歳以上であったり、基礎疾患(糖尿病、心不全、呼吸器疾患、高血圧、透析を受けている者、免疫抑制剤や抗がん剤等を用いている人)がある人には役員を委嘱しない
- 観客;入場制限をする、声を出しての応援は禁止する
これもよくみる表現です。65歳以上の人と、基礎疾患を持っている人の新型コロナウィルスの発症率・致死率が高いので、当然の配慮です。
競技種目ごとの配慮事項
共通の配慮事項
- 3密を回避できる競技人数での運営とする
- スタート待機及び招集での密集を回避するようタイムテーブルを設定する
- 競技者紹介は簡略化する
- 競技中・フィニッシュ後に倒れ込んだ競技者のケアは、防護体制(マスク、フェイスシールド、ゴーグル、使い捨て手袋など)を整えたスタッフで対応する
- レース後手洗いへ直行する動線を確保し、手洗い・洗顔(ペーパータオルなどを用意することが望ましい)を徹底するように促す
- 記録掲示はWebをなるべく活用し、掲示板への密集を回避する
- 開会式・閉会式・表彰式は原則、実施しないが、3密を回避した方法であれば実施可能
倒れこんだ競技者への配慮が記載されているのは、ある程度のことを予測して記載しており、かなり考えて作りこまれているガイダンスだと感じました。
レース後手洗いに直行、は合理的かつユニークな対応だと思います。
記録掲示については、IT技術がいりますよね。まあ、主催者が結果の写メをツイッターでつぶやいてくれればいい訳です。
種目ごとの配慮事項
- トラック種目;スタート・ゴール時の待機時間を短縮させ、レース中はマスクは義務付けないが、待機中はマスク着用を義務付ける
- フィールド種目;ソーシャルディスタンスを確保し、器具の共用はなるべく行わず、やむを得ない場合は消毒を徹底する
今後の競技会では競技者がマスクをつけて待機する、という光景が数多みられそうですね。
施設における注意事項
入場口での配慮
- 入退場口での手指消毒液の準備
- 受付やゲートにて不確かな者に検温を実施
消毒剤の使用については、ショッピングモール等でとても広まっていますね。入場口での係員の観察力によるところがあり、医務員による指導が重要になってきます。
施設利用上の注意事項
- 換気を徹底し、換気をできないところは使用しない
- シャワールームの使用を禁止する
- 拡声器・通信機器を利用する
競技会終了後の対応事項
- 使用したすべての物品の消毒をする
- 参加者から新型コロナウイルス感染症を発症したとの報告があった場合や地域の生活圏において感染拡大の可能性が報告された場合の対応方針について、開催自治体の衛生部局とあらかじめ検討しておく
- 参加者は症状が4日以上続く場合は必ず最寄りの開催自治体の衛生部局に報告し、大会主催者に報告する
- 主催者は、感染症発症者の個人情報を保護する
- 主催者は、日本陸上競技連盟へ報告をする
これについても、主催者と開催自治体の連携が不可欠ですが、感染者が発生したときの対応としてはごく普通の順序です。ただし、主催者が日本陸上競技連盟へ直接報告をすることになっており、ここは新しいです。
大会主催者の免責事項
- 大会主催者は競技会に関わる全ての人に対して加入する保険の補償内容を明示する
- 大会主催者は競技会に関わる全ての人の感染に対するいかなる責任を負わない
これもよくある文言であり、今までは怪我であったり事故に対する免責事項が記載されていましたが、新たに感染について追記されたました。
個人情報取得の同意
- 競技運営目的以外に感染症予防対策目的として個人情報を取得する旨の同意を取得する
- 大会主催者が保健所・医療機関等の第三者へ情報を提供することへの同意を取得する
- 個人情報の保管期間は、取得した個人情報は大会終了後少なくとも 1 月以上とし、保管期間を過ぎた当該情報は、適正かつ速やかに廃棄をおこなうとともに、廃棄した証を保管する
同意の取得の方法については、選手の提出が義務付けられている、(PDF)【大会前:提出用】体調管理表・症状チェック表に個人情報の取得・利用・提供に同意する のチェックボックスがあり、これにチェックを入れることで個人情報の取得の同意となります。
まとめ
競技会の開催についてよく見ていると、
- 提携病院が必要
- チェックリストの提出:主催者、競技役員、チーム代表者、チームメンバー、個人参加者、観客の競技会に関わるすべての人の協力が必要
- 競技会の感染対策に基づいた整備
- 競技会終了後の報告の徹底
- 主催者が行うことの明文化
など、主催者だけでなく、競技会に関わる全ての人が感染防止に向けて新しく様々なことに取り組む必要があります。
陸上は個人のスポーツとよく言われますが、ここは競技会に参加するすべての人が1つのチームだととらえて、感染防止策を講じる必要があると思いました。