実は奥が深い看護師の見守りケア 患者の安全・安心・自信のために *57歩
こんにちは!ユウジです。今回は、看護師にとって重要なケアである見守りについて記事にしていきます。見守りケアは、患者がなにかを行っているところを観察しながら付き添うケアのことを指します。このケアは患者のできることを尊重する側面と、できることはなにかという評価的な側面があり、看護師であればよく行うし、適切に行いたいケアの1つです。
移動、更衣、清潔、トイレ(排泄)、整容、服薬、家族の介助など、様々な場面で看護師は見守りを行います。この記事では、以下について書いていきます。
- 見守りケアはその場その場で患者が1人でできていないことを補う役割
- 見守りケアのスタンス
- 患者が安全にできている、安全にできていない、の判断が超重要
- 安心感と自信をもってもらう見守りケア
見守りケアはその場その場で患者が1人でできていないことを補う役割
見守りという名前の通り、なにか手を出して手伝うわけではありません。まず患者や家族ができるところはやってもらい、足りないところを補完する役割が看護師にあります。
主にADLについてになりますが、基本的な介助の程度はこのような定義です。
- 介助とは:看護師が患者を物理的に手を出し、手伝うこと
- 自立とは:患者が1人で開始から終了まで行い、それを看護師からできることを認定されている状態のこと
- フリーとは:同上
- 見守りとは:患者が基本的に1人でできるが、開始から終了までは安全性や確実性に課題があり、看護師が開始から終了まで見守りし、必要時補完をすること
言葉で定義をすると網羅的にせざるを得ず、このような表現になってしまいますが、介助と自立は、看護師が手伝うこと・手伝わないことが明確です。ところが見守りは、1人でできそうだがいまひとつ心もとないという状況であるため、看護師が手伝うこと・手伝わないことはそのときどきによって変わります。たとえ同じ患者であっても、日によってできること・できないことが変わったりしながら、身に付けていくので、見守りケアとはその場その場での対応が重要です。
見守りケアのスタンス
見守りケアは2つの考え方があります。
- 患者が手順を間違えたら声をかける/バランスを崩したら介助する
- 患者が手順を間違えそうになったら声をかける
基本的には1.患者が手順を間違えたら声をかける/バランスを崩したら介助する が見守りケアとして重要です。これは、患者ができるところギリギリまで1人でやってもらい、間違えたら・バランスを崩したら介助し、「ここは気を付けましょう」と声をかけていきます。患者がいまできることを看護師が理解するために重要な考え方であり、ここで看護師が声をかけたり手伝った内容を、逐一看護記録に残していくことになります。ギリギリまで手を出さず、危険は回避しなければならないので、集中力・瞬発力が重要です。
2.患者が手順を間違えそうになったら声をかける これは、エラーレストレーニングといって、記憶障害がある患者さんの場合に重要な考え方です。間違えながら学習するのではなく、型をおぼえてもらうことを重点的にしています。インスリンの自己注射や更衣の手順など、手順に関わる内容に対して行います。記憶障害があると、間違ったところをアドバイスされても、その記憶がなくなってしまったり、間違った記憶があったりなかったりで混乱してしまうため、正しい1つの型を体でおぼえる(型をおぼえるのは本当は小脳ですが💦)という考え方・やり方です。何を間違えそうになったら、ととらえるかが難しいです。
患者が安全にできている、安全にできていない、の判断が超重要
見守りケアの超重要ポイントはここです。なにをもって安全とし、なにをもって安全でないとするかが重要です。
たとえば転倒予防にしても、なにをもってバランスを崩したか?とするかが大事です。A看護師が記録で、「B患者の歩行を見守ったらふらついたので介助した」よくある記録ですが、C看護師が同じB患者の歩行をみたら、「多少ふらついたがB患者は自分でこらえたので介助はなかった」と記載することもありえます。A看護師とC看護師で同じ現象の解釈が異なります。ですがA看護師がみたB患者の歩行は安全でない、C看護師がみたB患者の歩行は安全である(安全にできていないとはいえない)となります。B患者が同じ歩行状況を繰り返したとします。A看護師は介助したと言い、C看護師は介助しなかった、と言います。となると、安全に歩けるときとそうでないときがあるB患者、という評価になってしまいます。
ですから、なにを安全として考えるか、を計画等で明確に記載できているか、看護師がその患者の見守りケアでの安全についてきちんと考えられているかが大事です。
実際はこのようなことが山積していきます。同様のことが、移動、更衣、清潔、トイレ(排泄)、整容、服薬、家族の介助のすべてにいえます。
安心感と自信をもってもらう見守りケア
人間、特に患者など一般的に心持ちが弱い人は、できたことを認められることをうれしいと感じることが経験上多いです。若造が高齢者をほめて、ほめられた方はうれしいのだろうか?とも思ったこともありますが、若造であっても専門職であり、たくさんの患者さんをみてきた経験を皆さん信頼してくれます。ほめられたことが自信や自己肯定感につながり、患者さんの家に帰る目標へ一歩ずつ近づいていきます。
また、看護師がついているから安心という患者さんもたくさんおられます。これは信頼関係があってのことですが、安心・安全に日常生活を送ってもらい、在宅療養に向けて準備をしていくことが看護師として重要な患者に対する働きかけです。
なお、安心してもらったはいいが、特に歩行において、1人で実施できるのにこれに恐怖をおぼえる患者さんがいます。これにも恐怖を取り除くコツがありますので、また記事にしていきたいと思います。