急性期病棟と回復期リハビリテーション病棟の看護師の働き方の違い *45歩

看護師 看護師の働き方

こんにちは!「人に優しく、人を楽しませる」コミュニケーションが信条で、日本を、世界を癒しの力で包み込みたい看護師タレントユウジです。

今回は、急性期病棟と回復期病棟での看護師の働き方の違いについて記事にします。

一般的な急性期病棟と回復期リハビリテーション病棟は、看護師として働くときに比較すると、全然違います。

勤務先の領域を、急性期か慢性期かで迷っている方、転職や異動を考えている方、病院勤務に復帰したいけど、ついていけるか不安という方、様々な仕事上の悩みを持っている看護師の方がおられると思います。

僕は、1年目は急性期の整形外科病棟、2年目以降は回復期リハビリテーション病棟に勤務しました。
看護師として自律して、消化器内科・糖尿病内科やコロナ軽症者施設、訪問看護ステーションなど他分野で看護の仕事ができるようになったのは、完全に回復期リハビリテーション病棟での勤務経験が生きたからです。

1年目の整形外科病棟では消耗し続けており、自分自身を見失っていました。

今回は、急性期病棟と回復期リハビリテーション病棟の看護師の働き方の違いについて、記事にしていきます。

急性期病棟と回復期リハビリテーション病棟の違い

急性期病棟 回復期リハビリテーション病棟
看護師配置数 7:1~10:1 15:1
看護補助者配置数 7:1~20:1 7:1~20:1
患者の概要 症状が不安定な患者、手術患者 病状が安定している患者
ケアの内容 医療処置、日常生活援助 日常生活援助
残業 多い 少ない
チーム体制 看護師と医師がメイン 看護師と医師、リハビリテーション関連職種のチーム医療
人間関係 波がある 安定的
給与 病院による 病院による

順に説明していきます。

看護師配置数・看護補助者配置数

配置数の7:1とか10:1って、解釈が難しいところがあり、記事にすると説明するために1記事を費やすと思うので、ここでは回復期リハビリテーション病棟は急性期病棟よりも看護師数が少ないと思ってもらえればOKです。

看護補助者は近年急性期病棟で増やすことで診療報酬加算がとれる(ケアの充実に対して医療報酬を高くもらえる)ので、配置数はどちらが多いとは言い切れません。ただ、看護補助者が夜勤を行うということが特殊だと思います。夜勤手当がもらえます。

どんな患者さんがいる?

ざっくりと説明します。

急性期病棟の患者

急性期病棟では、症状が不安定であり、医療処置が必要な患者さんが多く、

  • 手術患者
  • 予定入院患者
  • 緊急入院患者
  • 在院日数は2週間程度

このような患者さんが入院しています。

回復期リハビリテーション病棟の患者

回復期リハビリテーション病棟には、病気によって体が動きにくくなったが、リハビリをすることで家に帰れる患者さんが入院しています。それは、

  • 整形外科疾患で指定された疾患
  • 脳卒中
  • 廃用症候群
  • 在院日数は1.5か月~6か月

など、決まった疾患が対象です。在院日数がとても長いのがおわかりかと思います。

ケアの内容

一般病棟は点滴や消毒・ガーゼ交換などの医療処置が多く、どちらかというと日常生活援助よりも医療処置が優先されます。基本的には入院目的の疾患が安定したら退院となります。

一方回復期リハビリテーション病棟では点滴や消毒・ガーゼ交換などの医療処置はほとんどないです。たまにインスリン注射、経管栄養、導尿など生活の中で必要な医療処置を行う患者さんがいますが、急性期病棟と割合はあまりかわらないです。
そのかわりに、見守りが主体のケアになります。患者さんが退院後に自宅での生活が24時間成り立つよう、自分で、もしくは家族の援助でケアが行き届くことを見越して、看護師は日常生活援助に重点的に取り組むことになります。さらに清潔ケアも充実しており、患者1人に対し、週に3回シャワー浴・入浴の日があり、これがない日は清拭(体拭き)を行います。

残業

残業は急性期病棟の方が多いです。看護師が多いといっても、業務内容として急性期病棟の方が多いといえます。

  • 医療処置が多い
  • 検査や手術など、看護師が病棟の外に行かなければならない場面も多い
  • 手術後観察や点滴など、定時的な対応が求められる
  • 緊急入院患者が勤務終了直前に来ると残業必須

そして、回復期リハビリテーション病棟ではこれら全てが少なくなります。
僕は会議を除いてひと月の残業時間が1時間だったこともあります。

チーム体制

急性期病棟では医師との連携がスムーズであることが求められます。多職種とのかかわりもありますが、入院目的の疾患が治療できたら退院なので、医師ときっちり連携できていることが重要です。
回復期リハビリテーション病棟では、医師のほかに、リハビリテーション関連職種(理学療法士、作業療法士、言語聴覚士)や、管理栄養士、薬剤師、医療ソーシャルワーカーなど、外部のケアマネージャーなど、様々な職種とかかわります。一見難易度が高そうですが、患者の在院日数が長いのと、カンファレンスで方向性を確認できるので、スピードは求められません。

人間関係

 

当たり前ですが、人間関係については、どちらがいい、悪いは一概に言えません。なぜなら、周囲の空気を乱すスタッフ(キレる、怒鳴る、無視する、マウンティングする)がいるかいないかの影響が大きいからです。

ただし、

  • 事実、時間に追われるとイライラする、忙しくないとイライラしない、という人がいる
  • 回復期リハビリテーション病棟の方が定時でやらなければならないことが少ない
  • 回復期リハビリテーション病棟の方が残業が少ないので、時間の有効活用ができる

あくまで可能性として、回復期リハビリテーション病棟の方が落ち着いた人間関係である要素が大きいです。

給与

給与は病院の規定によりますが、急性期病院の看護師の給与のほうが高いことが多いです。

  • 回復期リハビリテーション病棟がある病院はほとんど大学病院ではない
  • 回復期リハビリテーション病棟は包括医療であり、1日に患者が払う医療費はほぼ決まっている
  • 回復期リハビリテーション病棟はリハビリテーション訓練のみが出来高払いである

これらのことから回復期リハビリテーション病棟がある病院よりも、急性期病院の方が多くのお金を回しているので、看護師の給料もこれに応じて高くなっていると察することができます。ここは説明しなくても、皆さま就職を検討する際はじっくり見るところだと思います。

まとめ

急性期病棟と回復期リハビリテーション病棟の働き方の違いを記事にしました。よく

  • 「新人看護師は急性期病棟で鍛えた方がいい」
  • 「医療処置をもっとやりたいから急性期病棟に異動したい」

という発言を耳にします。新人看護師が急性期病棟に配属されて心を痛めたという話を何十件も聞くのに、いまだにこの風潮があることに違和感があります。合っている人と合っていない人がいるのは当たり前だと思います。
また、医療処置をたくさんできる、知っていることがいい看護師なんでしょうか。
診療上の補助ができるということは、医師や医療行為に焦点が当たっている気がしてヤキモキします。
看護師は患者の立場に立って物事を考える一番の職種なので、日常生活援助を重点的に考えることができる回復期リハビリテーション病棟は、決して特殊な病棟ではなく、看護の基本が詰まった病棟であると考えています。